時として、その存在を知った瞬間から夢想してしまうアーティストの組み合わせというものがある。
僕がシングル「りんご売り」で
中村 中の存在を知ったのは、今から10年前のことになるが、その瞬間から「彼女と
早川義夫が出会ったらどんなことになるのだろう?」と想像をたくましくしていた。
そして昨晩、そんな妄想が現実のものとなった!
会場は渋谷のLast Waltz by shiosai。
シンガー・ソングライターの
リクオが主催する“HOBO CONNECTION 2017 〜PIANO SINGERS〜”という企画の中の出来事だった。
種ともこ、中村 中、早川義夫、リクオの四人が、順番にピアノの弾き語りで競演する企画だが、単なる対バンではない。CONNECTIONとあるように、それぞれの出演者が入れ替わる際にセッションを披露し、最後は全員でという構成である。中村 中と早川義夫のセッションは、中村 中の出番の終わり際。
中村 中のリクエストでパパをデュエットで聞かせてくれた。
早川義夫は「この曲でのセッションの申し出は今までなかった」と非常に嬉しそう。
youtubeでも「パパ」がどんな曲か確認する事ができるが、これを二人で歌うとどんな風になるか、……ぜひ想像していただきたい。
濃密な背徳感を感じながらも感涙してしまうのは、この曲が人間の業や性(サガ)を哀しみと共に祝福しているからではないか……などと思う。
それにしてもセッションでこんな曲を提案する中村 中の嗅覚は凄い。
さらに“HOBO CONNECTION”という形で、こうした場を作ってホスト役を務めるリクオの采配も素晴らしい。彼の純粋に音楽を愛する志あってこその賜物だ。
時として、たった1曲で状況をガラッと変えてしまうような力が音楽にあるということを改めて肝に銘じた。
素晴らしい一夜に参加させていただき、ありがとうございました。