時代は80年代後半から90年代前半、いわゆるバンド・ブームの最中。
僕が熱狂的に入れ込み、当時のバンドの事務所の社長さんから「マネージャーやらない?」とまでいわれたGLASSというバンドがあった。
彼らのアルバムは『SLOW WATER』『涙の洪水』『ストラグル』と3枚あるが、全て素晴らしい!
すでにあれから20年の時を経ているが、現在でも僕の思い入れの強さは変わらないし、アルバムを聴き返す機会も多い。
彼らが『涙の洪水』と『ストラグル』をリリースしたインディーズ・レーベルのPSYCHOは、このGLASSと下山淳さんを中心とする60/40が看板アーティストで、他には先日共演してもらった斉藤トオルさんがメンバーであったJAZZY UPPER CUTのライヴ盤『QUIET NIGHT』も、1993年にリリースしている。
ひとことで言ってレーベル丸ごと好きなものばかり。
そして60/40については、2005年にコロムビアから『THE COMPLETE RECORDINGS OF 60/40』として復刻盤が、リリースされる際には、ライナーノーツを書かせてもらう機会にも恵まれた。
だがGLASSは1994年に解散した後、リイシューや再結成といった話題もなく、CDも廃盤のまま。
再評価の機会に恵まれないまま忘れ去られてしまうには、もったいなさすぎる
我が心のスーパー・グループ、GLASS
そんな風に感じているうちに、GLASSで作詞作曲とベースを担当していた高橋重幸さんが代官山でBar Crimjonというロック・バーを営業していることを知り、行く機会をうかがっていた。
手みやげはGLASSのライヴ映像。
当時事務所の社長さんが、僕の思い入れの強さに免じて、商品化していないライヴ映像をVHSでいただいたりしており、メッセージのやり取りで確認したところ、その中にはメンバーであった高橋さん自身も手元にないものがあるということだったので、DVD-Rに変換した3枚のディスクを用意していたのである。
そして寒い雨の降る12月半ばの火曜日。
こんな日だったら、お店もそれほど混雑することなく、ゆっくり話ができるのではないか、という期待を持って店に行ってみた。
もちろん大好きだったバンドの作詞作曲を行っていた方がマスターなので、話は尽きることなく盛り上がる。
だがそこに後からやってきたお客さんは……
なんと
当時GLASSのギタリストであり、現在はロンドンに在住しているというツカサさんであった!!!
よりによって、僕がDVD-Rを持参して初めてお店に行った夜に、幸運にもロンドンから初めてお店を訪れたもうひとりのメンバーとお会いすることができたのだ。
自分の思い入れを大切にしていてよかった!
不思議だが本当の100%実話。
僕にとっては密かな奇跡である。